『地政学入門 外交戦略の政治学』
初版は1984年。ソ連があった時代である。
もっとも地政学を構成するうちの地理的な要因においては大きく変動していないので、途中までの分析は現代においてもそう大きくは変わりないのでなかろうか。
そもそも本書はマッキンダー、ハウスホーファー、マハンとモンロー(主義)に焦点を当てていて、彼らが当時どのように世界を捉えていたかを見ているので、(WW2後という)現代的な観点は薄い。それはマッキンダーを起点とする現代の地政学がどのように受容され、どの箇所に重点を置いてきたかを示してもいる。
地政学とはおおよそどういうものか、その概略を各国各地域の現代的事情ではなく、地政学そのものに立脚して説いてくれている、地政学史の梗概のような本であった。
書名通り入門にうってつけではないだろうか。
(20180101公開)