雑考閑記

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雑な考えを閑な時に記す

地政学関連4冊

最強兵器としての地政学 あなたも国際政治を予測できる!

藤井厳喜/ハート出版(2016)
図解でよくわかる地政学のきほん 新聞・テレビではわからない国際情勢、世界の歴史、グローバリズムがすっきり見えてくる

荒巻豊志/誠文堂新光社(2016)
図解地政学入門 世界のニュースがわかる

高橋洋一あさ出版(2015)
地図で読む「国際関係」入門

眞淳平/筑摩書房ちくまプリマー新書](2015)

 

 一日にまとめて読んだが、内容的には難しいものでもない。一年にたくさん本を読む人って、こういうものを多く読んでいるのかしら。実用書はさっくり読めるが、小説や研究所になると途端にペースが落ちてしまう。

(20180101公開)

 

 地政学を少しかじってみようと思い、中公新書の『地政学入門』改版もあわせて横断的に読む。

 各書共に類書で、大半をカバーしあっていたので入門としては非常に良かったと思う。(『地政学入門』だけ少し毛色が違うかな。さらに原理的な感じであるが、最初に読んでおいて間違いはなかった。)
 図らずも近代史の復習のようになったが、これは地政学の成り立ちと使われ方を思えば必然的なものであろう。
 地理と歴史が好きな人間の一つの到達点が地政学ではないだろうか。

 世界史はぶつ切りのミクロな視点ではなくマクロな視点で流れを把握しろと言われるが、それはまさに地政学的なものの見方を養うための方法でもあるのだと思った。時間と空間の把握がまさにその根源にあるわけだ。

 一方で地政学は学問というのとは違うかなというのが僕の所感。
 僕にとっての「学問」とは、大ざっぱにいって体系的な知識の集合体という観点である。(話はずれるが、ゆえに僕は文学を「学問」とは思っていない。文学史は学問と呼べるだろうが、文学そのものはやはりどこまでいっても芸術なのである。ただ、学問を一種の思想として吹き込んだ文学は存在しえると考えている。)

 むろんマハン、マッキンダー以来の、地政学という分野の積み重ね(政学史)や、彼らやその後継者たちが提唱した用語、理論などはある程度の体系で成り立っている。しかし地政学の本旨は収集、分析と対策からなる「技術」ではなかろうかと思う。

 分析においてその人がどう世界を見ているか。それが顕著に出るのかなと。
 端的に地政学は「世界の見方」そのものと言ってもいいかもしれない。
 もっとも大げさに考えずとも、日々世界の報道に接し、多少なりとも世界情勢を把握していれば、その第一歩には十分に到達できていよう。
 そして歴史は一足飛びには進まないので、その流れを掴んでいれば地政学の入り口ぐらいには立っているかもしれない。

『地図で読む「国際関係」入門』は地政学の本ではないが併読。
 これは世界史や新聞などで国際情勢や情報を得ていればほとんど捕捉可能な内容であった。断片的な新聞と違って一括して読めるのは良い点か。
 もっとも現代を扱っているので時間と共に中身が古くなっているのを考えると差し引きはゼロかもしれない。新書ってそういう部分あるよね。