雑考閑記

雑考閑記

雑な考えを閑な時に記す

頒価設定についての雑記

 お金の話しますので、苦手な人は避けてね。

 

 

 パソコンをようやく新調した。

 これにあわせて「蒸奇都市倶楽部」でこれまでさぼっていた頒布数やお金のまとめ的なあれこれをしている。(代替機は貧弱でグーグルのスプレッドシートすら重かった。)手元の手書きデータをパソコンに打ち込んで簡単なグラフを作るだけの小遣い帳の延長的なもので、帳簿や経理というのもはばかられるが。

 ただ、データを見ていろいろ思ったので、その雑感を記しておく。私の将来の肥やしになればとの下心を伴って。

 

「蒸奇」の活動は5年ちょっとになるはずだが、運営(?)関係の手書きメモでしっかり残っているのは2016年からのものばかりだ。この年は『手向け~』の刊行があり、印刷費用諸々が初めて10万円を超えたので、さすがに金銭の管理をしようとなったのである。で、意識的にお金関係のメモを書いて残すとともに、部員間で共有するようにした。それまでは残部数ですらかなりいい加減に把握していたぐらいの放漫さであったから、少し前進したわけだ。

 

 2016年は頒価(頒布価格)についても再考した年だ。

 正直に書くと、最初の2~3年の冊子は私も含む部員の肌感覚で値段を決めていた。「この分厚さなら1000円にしよう」「前より薄いから500円にしよう」「これは1000円にするほどの厚さではないな」みたいな。おおむね分厚さ、それも最初に刊行した『蒸奇都市倶楽部報 第一号』(絶版)が基準になっていた。

 

 そもそもこの肌感覚というのは、各員がこれまでに参加*1 した各種即売会で見聞きした同人誌、特に文章系に対するそれの値段と厚さに対する感覚に基づいている。同人誌の頒価というのは本当に様々だ。個人感覚で言えば高い、安いと感じるものであっても、そこに同人誌の相場感覚(作品内容に限らず、装丁やカラーなどの要素)を加味するとあら不思議、逆に安い、高いと感覚が逆転するものも多い。この感覚の平均値が2016年ごろまでの頒価に反映されていた。

 

 といっても、蒸奇の頒価は基本的に1000円か500円の二つしかなかった。釣銭の準備や、簡単に売り上げが計算できるようにという部分での調整である。一部の冊子には700円でもいいんじゃないかな、という分厚さのものもあったが、100円玉を用意するのが面倒だからというだけの理由で切り下げて500円にしていた。

 

 しかし100円玉の棒金ぐらいすぐに用意できるし、これから記録をしっかり取るなら100円単位を面倒がる理由はない。

 

 頒価再考で影響を被った冊子がある。

『蒸奇画報』だ。

 これは24ページながら当初は500円であった。当時の最低頒価が500円しかなかったからだ。初めてカラー口絵を入れたりイラストを採用したりと、そうした部分も込みで決めたところもある。

 しかしこの『蒸奇画報』も2016年から300円に下げている。より我々の肌感覚とページ数から感じる「高い安い」の印象に近づけた設定だ。この判断については、それまで500円で『蒸奇画報』を求めてくださった方々には本当に申し訳ないと感じている。今後の値付けはもっと慎重に行い、頒布開始後の恒久的な改定は避けるように心がけていく。それがせめてもの反省を示すと思っている。

 

 2016年の頒価再考に伴い、これまでの肌感覚だけに加えてページ数と印刷費用をちょっとは加味するようになった。

 もっとも2016年以降に刊行した冊子の頒価を見ると、一種(『身を尽くしてもなお沈み』400円)を除き、依然として1000円と500円の二種だけだ。従来の肌感覚で値付けている部分がまだ強いと思っている。が、2016年以降の刊行がそもそも4種で、1000円2種、500円1種、400円1種の分布でしかないから、まだまだ母数が少ないだけかもしれない。

 

 余談。

 ちなみに最近は相場の適正はあんまりないんじゃないか、と考えるようになってきている。もちろん統計をとれば平均値や中央値は出るだろう。が、その値が適正な相場になるかというと、ちょっとどうかなと疑問視している。

 また、それぞれの肌感覚はあくまで個人の予算や値段感覚との相関によるところが大きいだろう。

 余談終わり。

 

 

 というのは、本題をつらつら考えていた際にあれこれと零れ落ちた余滴でしかない。

 僕の本題はこれからの冊子の値段設定についてだ。

 

 蒸奇都市倶楽部の現在の最高額は1000円である。これを書いている現在、在庫があるうちでこの設定になっているのは文庫判のみになっている。もっともこれはページ数と印刷費との相関で、たまたまそうなっているに過ぎない。

 

 文庫判の題名とページ数を具体的に書くと『手向けの花は路地裏に』(384ページ)と『蒸気人間事件』(320ページ)。

 ちょっとだけページ数の開きがあるこの二冊は、同じくちょっとだけ値段の差をつけてもよかったのかなと思うところもある。(※上に書いた通り既刊の価格改定を行う予定はないことを先に断っておく。仮の話である。)

 仮に差をつけるとして、どっちを基準にするかで違ってくる。『手向け~』を1000円とするなら『蒸気~』は700円。『蒸気~』が1000円なら『手向け~』は1200円。

 しかしこうして差をつけて見てみると、(僕の肌感覚の上の話で)今度は60ページちょっとの開きで最大300円はちょっと値段差が開いているように見えてくる。(一方で60ページの文庫判の同人小説が300円ならば、僕は安いと思ってしまう。320ページ1000円と60ページ300円が並んでいても、差が開いているなどとは思わない。つくづく不思議なものだと感じるものの、僕の肌感覚がいかに大雑把なものかということでもあろう。)

 300ページ台で約60ページという開きだけで見るならば、100円~200円ぐらいの差が感覚に近しいかな、とも思う。でも100円ぐらいの差なら、いっそどっちも同じでいいじゃないか、とも。そのあたりのせめぎあいでなんだかんだで1000円に収まっている。

 いくらにせよ一冊お求めいただくたびにぎりぎり収支がマイナスになる設定だ。*2

 

 すでに頒布している冊子のことはいい。

 繰り返すが、これらの改定は行わない。

 

 本題中の本題は今後の設定について。

 いま僕は文庫用の作品をものしている*3 が、これ、ざっと計算すると400ページを超えそうなのである。となると、これまでの300ページ台の文庫と同じ1000円よりは上げた方がいいかなと思っている。

 具体的に書くと1300円もしくは1500円だろうか。実際のページ数は僕の加筆修正にかかっているから憶測でしかないが、500ページに近づけば近づくほど、1700円も考えてくるかもしれない。

 頒価再考に伴って100円単位での設定をするようになったとはいっても、サークルとしての料金体系はシンプルなのが望ましいという思いは今もある。複数冊子を買われた際の釣銭のミスは可能な限りなくしたいからだ。

 となると、1500円、1000円、500円、500円以下の4種がいいかなと思い出す。

 だけど1300円が妥当なところを1500円にしてしまうのは心苦しい。この場合は1000円に納めるかなと思う。そうすると今度は同じ1000円でのページ数の開きが気になってくる。

 

 赤字を減らす(「黒字化」ではない)方向から雑に考える。
 現状1000円のものでも一冊出るたびに200円ぐらいの赤になる。ページ数が増えて一冊あたり300円の赤になってしまうのはさすがに避けたい。となるとやはり1300円~1500円、場合によってはそれ以上の設定帯を作る必要はいずれ出てくるだろう。300円~400円の赤となるものはなるべく1300円~1500円の頒価に収めるようにしたほうがいいかも。釣銭についてはミス防止に力を入れる。どうせ行列ができるサークルではないのだから、丁寧に計算することを心がけていく。

 

 でもどうせ俺が書くとページ数増えるから、頒価が1500円の時はやっぱり150円ぐらいの赤が出てると思う。

 なんにせよ、もっと具体的にページ数が決まってから考えていきたい。

(丸投げおじさん)

 


*1:サークル参加も一般参加も含む。

*2:ちなみに挿絵は頒価に一切反映していない。現状は印刷費用とページ数の相関のみで決定されている。

*3:絶版冊子『蒸奇都市倶楽部報 第一号』および同『第二号』からの加筆修正。