雑考閑記

雑考閑記

雑な考えを閑な時に記す

文章読本

 指南書や手引書、ノウハウ本というものがあふれる世の中だ。

 この手の本や類書の自己啓発書が絶えないのは、目的に対する正解が一つでないからという事実に尽きよう。ある本を参考に失敗しても「この方法はあってなかった」と別の本を参考にしたり切り替えられるし、売る側もそれを把握していてどんどん出す。

 

 ノウハウ本にはむろん作文に関するものも星の数ほどある。文章の書き方が目的や用途が多様で正解がないからだ。

 とりわけ小説、もっと広げて創作となると、それこそ正解などないような分野となってくるので、ノウハウや構造の解析を試みる本は、古典から最新のものまで類書が尽きない。(文章の本質的な目標は、大別して「論理を欠かない」「人の心をつかむ」の二つになると僕は考えているが、余談なのでここに置いておく。)

 

 世の中にはこういった本の内容を金科玉条のごとく扱い、受け売りする人も多いが、僕は興味以外の理由で手に取ったことはほとんどない。手に取ったとしても、占いやおみくじ程度、要するに暗示や参考程度のものとして扱っている。(なので人によっては僕の文章などお察しな水準だと思うし、僕も自分の文章には論理性が欠けているとしばしば感じる。)

 

 今回はそういった中で僕が珍しく参考にした本を三つ挙げて、アマゾンの広告をつけておく(本音)。

 

1)文章讀本谷崎潤一郎、中公文庫)

2)新文章讀本川端康成新潮文庫

(※現在はタチバナ教養文庫のものが最も手に入りやすいと思う)

3)文章読本三島由紀夫、中公文庫)

 

 これらは具体的な書き方を指南したものではないので、指南書というのには異論がある向きもあるだろう。

 が、日本語で書くということについて深く考察し、その味わいの引き出し方のコツや考え方というものを引用においてしっかりと披露し、またそれらについて読者にも考えさせようと試みている点において、受け売りを目的としたかのような生半可な指南書とは一線を画している。

 

文章読本」という名の本は他にもあが、僕はこの三つを特に挙げておく。というのも、この三つで事足りると考えているからだ。ただし中身についての具体的な記述は差し控える。そうすると結局は受け売りになってしまい、貶めてしまうので。

 

文章読本 (中公文庫)

文章読本 (中公文庫)

 
新文章讀本 (タチバナ教養文庫)

新文章讀本 (タチバナ教養文庫)

  • 作者:川端 康成
  • 出版社/メーカー: たちばな出版
  • 発売日: 2007/12/01
  • メディア: 単行本
 
文章読本 (中公文庫)

文章読本 (中公文庫)