雑考閑記

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雑な考えを閑な時に記す

『アルテアの魔女』

アルテアの魔女

1~6、Final:発行日省略

サークル:七月の樹懶

著:たつみ暁

各500円:文庫判

 

2019年9月8日(日)『第七回文学フリマ大阪』Webカタログの同冊子第1巻

c.bunfree.net

 

2019年10月12日(土)『第9回 Text-Revolutions』Webカタログの同冊子第1巻

plag.me

 

 

ネタバレ

 

 

 僕の感想は僕の読み解きへの注釈みたいなものだから、基本的に読んだことを前提に書いているわけで、ネタバレを避けると意味が通じなくなるものだ。それに加えて僕自身がネタバレが全く気にならない人間というのも大きいだろう。*1

 という長い前置き。

 


『アルテアの巫女 / 魔女』エン・レイをはじめ、主要人物は各々の能力に目覚めてしまった。そんな彼らの時代をめぐる運命、もっといえば『破神』にまつわる悲劇と苦難に悩み、立ち向かい、手を取り合って超えていくのが本作の大筋だ。

 おおよその因縁は千年前のアルセイルにてカナタとミライによって形作られたもので、その二人とて元をたどればアルセイルにて生み出された『破神』――もっと言えばそれを生み出す『神の血』(の因子)――が原因だ。

 時代に翻弄させられた末の双子の決死的、自己犠牲的行動によって『神の血』は生まれるわけだが、エン・レイたちが遭遇する数々の事象の出所が『神の血』によるものなのか、はたまた双子によるものなのか、卵が先か鶏が先か状態でどちらが先であったのかを決めるのは難しい。時間遡行(+平行世界への転移)が絡んでいるからだ。*2
 しかしおおよそ全てが『破神』および『神の血』により運命づけれられたものなのは間違いがなく、本作はこれらが巻き起こす、あるいは巻き込まれた悲劇とその終焉を描いたものといってもよい。

 3巻において双子が関わるにいたった因縁とその終焉――エン・レイの『アルテア』によって『神の血』消滅が描かれるのは、この物語を因果を考えるにあたって象徴的な場面だ。『神の血』と『アルテア』のために平行世界(以下、破滅世界とする)の双子の身に起こった悲劇を、近い未来にこの世界(以下、物語世界とする)の双子を生むことになる母が、『アルテア』による自己犠牲で悲劇を繰り返さず因果を断ち切っているからだ。『アルテア』が生み出した因業を『アルテア』で消滅させたエン・レイは正真正銘、最後の『アルテア』使いとなる。
 彼女は長い時代をかけて悲劇を積みあげてきた災厄を一身に背負う覚悟を持ち、本当の意味で終わらせた。まさにこれは時代をめぐる運命の物語で、そうしたものを読めて満足している。


 ところで『破神』『神の血』に翻弄、狂わされてきた者の代表的な存在が各巻のボスである。彼らはそれぞれの思惑があるが、いずれもその背後には悲劇的な過去を持つ人間だ。

 そう、『神の血』などで力を得ているとはいえ、敵はあくまで人間である。*3
 そうした存在がボスとして立ちはだかるのは物語の王道だ。同じく『神の血』を持つエン・レイ側と対峙することで、その在り方や『神の血』がもたらした因業が浮き彫りになるし、ひょっとするとエン・レイ側の誰かも敵対する彼らの側に立っていたかもしれない運命の悲劇性を描ける。*4

 

 だが、「敵は人間」であるのはそこだけではない。この点に注目すると、実は本作が違う意味でも面白くなってくるのではないか、と僕は思う。

 本作は『神の血』をめぐる物語だ。しかし本筋を逸れた部分では血なまぐさい人間の争いも起こっている、命が安そうな世界である。街の治安はお世辞にも良いとは言えないし、女騎士が盗賊団によってここに書けないような目に遭う*5 ような事態も起きている。

 そういう部分と合わせて浮かび上がってくるものに『権謀術数』がある。
 まるでそれが本作の裏テーマだと思ってしまうほどに、人々は陰謀をめぐらし仕掛けている。

 具体的に書く。

 

 1巻はソキウスがボスで、輿入れも彼が入れ知恵したように語っている。が、どこまで記憶を操作したのかは不明だ。もしかするとエン・レイの輿入れを利用して戦争を起こす陰謀そのものは元から存在していて、ソキウスが体よく自分の都合のために利用できるよう、記憶を改ざんして割り込んだ可能性がある。その場合、元から戦争で儲けようとする陰謀が両国に渦巻いていたことになる。

 2巻はアーヘルを取り込まんとボスのレスナがあれこれ頑張っている。陰謀自体は『アルテア』頼りの杜撰なものであるが、人の好いエン・レイを渦中に巻き込んでいる。

 3巻は破滅世界のインシオンが味方の裏切りがもとで戦死している。これは西方の帝国による調略の賜物で、その魔手がすでに王国を蝕んでいた証だ。

 4巻収録作『夏が過ぎたら』では、英雄を騙って有力部族の長を暗殺しようとする西方部族間の権謀術数の一端が見られる。また『いつか終わる冬の話』では、皇国の旧臣が皇国再興によって返り咲きを目論んでの企みであるし、リエラも元は西方の陰謀の駒として統一王国に送り込まれている。

 5巻『紅の鬼神』は、暗殺などのための戦闘兵器としてインを育てさせる考え自体が、王国による権謀術数といってよいだろう。『死神の継承者と西方からの来訪者』は西方と統一王国の奸臣による企てによって事件が起きている。

 6巻だけはそうした権謀術数が絡んでいない。


 牽強付会、ちょっとこじつけた箇所もあるが、ほぼすべての巻に陰謀が取り巻いている。

 もともとエン・レイはいいところの育ちであるし、インシオンもいいところの血筋である。加えて近年まで交戦していた二国間、さらに暗殺上等の血なまぐさい世界にあって、二人とも陰謀とは無縁ではいられない存在である。そこに『アルテア』や英雄の名が絡むのだからなおさら陰謀とは無関係でいられないのだろう。

  むろん奸臣逆賊の陰謀は千年前のアルセイルから始まる因果とはなんら関係ない。それは4巻と5巻が証明するところだ。人は『神の血』や『アルテア』といった強い力とは関係なしに陰謀に明け暮れている。こうなってくると『破獣』など、力が強く人を食うだけの動物といってよい気さえしてくる。数も多くはなさそうであるし。

 逆臣どもは『神の血』とは別の強い力、権力のために動いている。そういう点では『神の血』も権力も大きな違いはないのかもしれない。彼らにとっては『神の血』などより権力の方がわかりやすいというのもあろう。
 そこを考えると、破滅世界のユーカートは自ら『神の血』を取り込まんと戦争を引き起こすし、あまつさえ統一王国を併呑するのだから、自国の権力や地位が目当てのみみっちい家臣どもとは野望の規模が違う。

 

 本作は「強い力」に翻弄される人々の物語といってよい。

 そこには当然権力も含まれている。ただし権力に翻弄される人々は、例外なく悲惨な最期を迎えている。本筋でないから仕方ないね。本筋はあくまで「強い力」のひとつ『神の血』にまつわる人の物語なのである。

 ただ、再三の繰り返しになるが、それ抜きでも陰謀が動いていることは物語で証明されている。そう、やはり「敵は人間」なのである。

 本当に怖いのは人間、みたいなありがちなオチになった。

 


 ところで『人間』が描かれたという点では、もう一つどうしても触れておきたい箇所がある。
 他ならぬエン・レイについてだ。
 彼女が明るく前向きで諦めない人物であるのを、読者は巻数をかけてしっかり目の当たりにするわけであるが、僕が最も触れたいエン・レイは6巻の『《アルテアの魔女》エン・レイ』である。

 3巻において破滅世界のミライがソキウスに語った中に、滅びの未来のエン・レイが出てくる。追われながらも子供を守り、さらに子供のために身を売りもするその姿は、きれいな言葉を選べば健気さや慈愛のかたまりのような存在ある。言葉を選ばなければ、ある種の意地や形見への執着であろう。ひねくれた僕としては狂気的なものさえ感じたのだが、はからずも6巻の『エン・レイ』はそうした僕の見方に対する一つの回答のように思えた。
 もしかしたら彼女(破滅世界のエン・レイ)の内心は子供たちへの想いを通り越して、6巻の『エン・レイ』のように、怒りを含み狂気に蝕まれていたのかもしれない。

 本来はきっとどの世界のエン・レイも根は同じなのだろう。優しく強く一途で。
 けれど、ただそれだけじゃなくて、嫉妬もするし、怒りもするし、果てには狂いもする。一人の人間のそういう感情の変遷、多面性を示してくれただけでも、6巻まで読んだ甲斐があると感じた。

 実は性格の二面性において、作中でこういう負の部分を示しているキャラクターは意外と少ない。*6  これを5巻以前に出しているのはソキウスやミライやカナタだろう。と、名前を書くと明らかなように、彼らは敵と味方の両属性を務めた人たちなの。また、そういう意味ではユーカート(3巻の破滅未来と4巻収録作との対比)もこれに当てはまるかな。

 このようにキャラクターが偏っているのは、二面性の負の部分だから、主人公側と敵対するような人物や状況でないと表現しにくいという、構造的な問題があるわけで。でもそれをエン・レイと根が同じであろう『エン・レイ』でやってくれて、この子にもそういう暗い方向があると示してくれた。物語の代表みたいな存在がそれを示してくれたから、きっと他のキャラクターにもそういう部分があるのだろうと思わせてくれる。

 人間はまっすぐなだけじゃない、明るいだけじゃない、強いだけじゃない。こういった部分は世界設定や陰謀の部分でも見せてくれている。でも、そうした役回りの奴ばっかりで負の部分が占められていると、そいつらがもともと悪いやつだっただけだろ、となりかねない。そういう意味ではソキウスも『神の血』を得る前にどんな奴だったかはわからないしさ、破滅世界のカナタも狂う前のことは実はわからない。ミライも。物語世界ではその後が描かれるけれど、それはあくまで破滅世界や3巻を経た後の「成長後」だからさ。

 でもエン・レイは違うわけで。まっすぐに強く、自己犠牲で『神の血』そのものを消し去ってしまう*7 エン・レイがあんな風に狂気に呑まれてしまうんだと。セイ・ギのミライへの恋心さえも利用してしまうんだと。その二面性を見せてくれてとても満足がいったのよね。

 それをして『人間』が描かれていると感じたわけです。よかった。

 


 


 以下は各巻読了時の雑感(というよりもその段階での今後の予想)。
 本来は伏せておくべきものかもしれないが、各巻を読んだ直後の感想として公開しておく。上記の感想は感想としての体裁を取り繕うためにひねった箇所が多いが、下記のものは本当に所感である。1巻から順に。

1巻時点
・主人公があちこちで傷を負っていてよかったと思います
・命の安い世界でよかったと思います
・破神(タドミール)をタンドールみたいだなと思ってしまいました


疑問点と推測、補完

・破獣の強さはそれほどでも?
→主人公チームが普通に倒しているからというのと、量産型みたいに出てくるからというのが理由かな。兵士は不意討ち? いずれにせよ絶対的な強さを持っているわけではなさそう?
・13年前のインシオンが破神を倒せたのはなぜか。破神殺しの剣を持っていたとしても、肉体は生身の人間であったはず。人間はどんなに鍛えても素手で熊や虎には勝てない
→王族は破神の血を引いているので、もともと普通の人間とは規格が違うのかもしれない
・アルテアという力そのものは、13年前の破神とは関係がないはず
→でないと、アルテアがたかだか13年の新しい力になる。もっと前の時代におそらく関係あり
・遊撃隊やったり重鎮つとめたり、複数作れるとはいえソキウス大変そう
・作中の差し向けられた破獣はソキウスのものとしても、知能がなさそうな破獣にそこまで細かく指示できるのか
・複製されたソキウスは神の血に基づく力を使えない?
→そうでないといたちごっこになる気がする

→自分でもどれが本物かわからんという部分よき
・エンレイを育てたのはインシオンが設立した福祉の家の人たち? セァクに引き取られてからが不明
→記憶操作と、作中でおそらくあえて触れられていない部分があるので明確にはわからない。物語開始直前に引き取られて記憶を植え付けられた可能性もある
→彼女の性格がどこに由来しているのかが気になった(皇女としての側面と地の部分)。これは結局誰が育んだのかという部分につながる

 

2巻時点

セアが山賊にあれされたっぽい感じ。

アルテアと破神の由来の開示
アルテアは破神の制御の為に編み出されたのか、元から存在したものなのかは不明
二体目の破神とセイ・ギの関係が肝かな
エンレイの墓はおそらく時間跳躍。誰が飛んだか
→エンレイもしくは他のアルテア使いが過去へ飛んで破神に関係した可能性あり
:アルテアが不可能な操作として提示されているのは死者蘇生(もっといえば魂の肉体への復帰かな)。時間跳躍はできる可能性はある
第二王妃のアルテアはどこから来たのか

優しく接してくれた第二王妃が黒幕

→エンレイにとってはソキウスのときで身に染みたはずだが、引っかかってしまうのは彼女の性格によるものだろう

 

3巻時点
第一部完


破神の呪縛からの解放
話としては割と本筋(ゲームで言うと必須クエスト)直行で終わった感じがする
個人的にはカナタとセイ・ギの掘り下げが欲しかったかも

レイ王は普通に病没したのね
いろいろつがいができた
両片思いという概念を把握。幼馴染とかがなりやすいやつやね


予想通り時間跳躍
ミライとカナタは何者か
物語のセオリーからすれば二人の子供なのだろうけれど、地の文に子供であることが書いておらず情報的に確定できない
しかも双子が知る未来が変わったので、もしかすると二人の子供ではない可能性もありえる

→時系列の改ざんではなく、分岐した未来へ進んだと考えるなら子供説は残る
その場合現在に残った双子は数年後に赤子の自分を見ることに

 

アルセイルに双子が飛んだ千年前の時点である程度の研究が進んでいた?

・竜化の血はどこに由来
『竜化の血と、元より破神の因子を持つ血』(93p)の『竜化の血』は双子の介入以前より土着のものとしてあったように読める。『元より破神の因子をもつ血』も土着のものとも取れる文章だが、すぐ後に『混ぜ合わせる』とあるので、こっちは双子の血と見ていいだろう
どちらも土着のものであったのならば、双子が介入しなくても破神を生み出せている

・アルテアの出自は
アルテアの出自も双子に由来していると読み取っていいようだ
カナタの血を与えられたらアルテアが使えるようになったのは2巻のレスナも同じか
ならば現代ではエンレイが血を与えたら使えるようになる可能性も?
しかしカナタがエンレイとインシオンの実子であると仮定した場合、血を分け与えてアルテアを使えるようになる能力はエンレイとインシオンの血を掛け合わせて生まれたものである可能性があるので、現在のエンレイでは不可能かもしれない

本文中から、カナタがアルテアを広めたと読めるため、この世界に本来的なアルテアは存在しないようだ
→時間跳躍をしたカナタが伝えたアルテアが千年後のカナタのアルテアの元となっている?
この能力は時間の輪の中で巡回しているのかもしれない

ヒノモトの言葉でないといけないのはなぜなのか
アルテアがヒノモトに由来するものではなく、カナタが循環させるものならば、この能力は本来的にはヒノモトの言葉とは関係なく行使できるはず。ヒノモトの言葉で行使されているのは、千年前の研究の主体がヒノモトであったから?

双子は現在に残るのか
未来が変わったのに双子が消えないことについては、この世界ではそういう法則なのか、変わった時点で世界が分岐したのだろう


・エンレイの本来の部分
姫巫女になる前(正確にはアルテア発現前)のことはなんら明かされていなかったりする
ミライとカナタも本当の子供かは不明
過去の記憶がないというギミックからすると、もしかするといずれかの人物(すでに登場しているものの他、未登場も含む)の血縁者である可能性が残されている
本来の名前も不明だが、これも記憶に関連する何かがまだ仕込んである?
あるいはこの後も明かされない可能性もある

 

4巻時点
3巻での『話としては割と本筋(ゲームで言うと必須クエスト)直行』への解。いうなればサブクエスト、触れていると本編に深みが増す部分。だいたいの中身を把握しておいて、時系列に合わせて1巻から組み込んで読むのもよかったかも

 

ミライとカナタが実の子供であることも確定
時系列が分岐しても、本来の時系列の人間が消えない世界のようだ

→おそらく平行世界か分岐世界
となると結果論であるが3巻のカナタはとっとと現代に飛んで自力でユーカートを始末しておくべきであった


あとがきから読み取るに、ある段階までは双子が子供であると確定させるのを意図的に伏せていた模様。なぜか
3巻時点で触れたエンレイの本名についても言及あり

レスナさんは悲劇でしかない
海底の人たちについてもう少し触れてほしかった味がある
アーキとレイの話がよかった

 

破神の因子が消え去り、それに由来する力も消滅したけれど、かといってこれまで紡いだ思いや記憶、経験が消えるわけではない。アルテアがなければインシオンとエン・レイは出会っていなかった(正確には再会していなかった)。けれど出会ったうえで結ばれたのは、アルテアとは関係がない彼ら自身の思いによるもので、力が消えてもその思いは残り続ける
逆のことはソキウスの消えていった記憶にも言えるわけで、それを踏まえると本来のエン・レイの記憶もおそらくもう戻らないのだろう
もっとも自分が生んだ双子にミライとカナタと名付けた彼女のことだから、もう戻らない記憶にこだわりはないと思われる

リリムとシャンメルのその後も欲しかった


『第一部を整理して残った疑問』
6巻以降の本編で触れられるかはわかんない

・破神
被験者の少年→最初の破神。研究者(おそらくセイ・ギ?)に討たれる
セイ・ギ→破神となった後に消える。詳細不明。自作自演の疑いが濃いが、直後に皇国を興すセイ・ギが別人である可能性も残る
先代の王→インにより討伐
ソキウス→遊撃団により討伐(生存)
ユーカート→未来を滅ぼしたのち現代に呼び寄せられ、遊撃団により討伐

破神セイ・ギが討たれたという情報がないため、ここらへんでなにかあるかも
またセァクの成り立ちはセイ・ギの自作自演ともとれるが、ここいらも詳細不明

 

・アルテアの系譜
最初のアルテア使いは時系列的には過去に飛んだカナタとミライだが、この二人がエンレイの子供なのが確定したので、アルテアの系譜をたどれば始祖はエンレイということに?

→ライ・ジュのアルテアがエレに代々受け継がれていったわけではない?
セイ・ギのアルテアがライ・ジュへ代々受け継がれていったのかも不明
ただエンレイのアルテアが双子に血によって継がれている(破滅世界)ということは、セイ・ギからライ・ジュへも皇家の血とともに継がれていったと思われる。しかしヒョウカの代に『アルテア』は失われていた。時代とともに破神の血が薄まっていったのか、また別のギミックがあるのか。(おそらく)ライ・ジュ直系のヒョウ・カも『アルテア』を使えるはず

 

ここまで読んだ限りだとエン・レイには皇家の血は入っていないので、彼女が血を浴びて『アルテア』を発現させたのはおそらく本当に偶発的なものと思われる
エレ→ミライ、カナタ:遺伝
ミライとカナタ→当時の被験者および研究者セイ・ギ:二人が血を与えた
研究者セイ・ギ→大陸の人々に多数:セイ・ギが血を与えた?
初代皇帝セイ・ギ→始祖ライ・ジュ?:直系の遺伝?
ライ・ジュ→(不明)→ヒョウ・カ:失われた
先代の王の破神?→エレ:破神の血を浴びたことによる

 

上でも触れているが研究者と初代皇帝のセイ・ギが同一人物かは不明
セイ・ギが破神となった後の「唐突に消える」がイコール討伐かどうかがわからないから。研究者セイ・ギと初代皇帝セイ・ギの人種的特徴は同じだが、これをもって同一人物とみなすのは早計。同じ特徴を持つヒノモト→セァク人は大勢いる
破神となった研究者を何らかの形で消した初代皇帝が同じ名を名乗った可能性がある
アルテアは時間跳躍が可能なので、研究者セイ・ギはもしかしたらミライを追って??(その場合、破神になっても意識があることになるので、想像の積み重ねでしかない)
いずれもセイ・ギ関連

現代と未来についてははっきりしたので、深く語られていない過去に謎が残るのは当たり前なんだよな

 

5巻時点
可能性としてはスウェンの妹の孫が本来のエンレイ

3巻の予想は当たらずとも遠からず。込み入ってますね
込み入っているついでに、スウェンを始末した暗殺者はアーキの父親かも、みたいな妄想

この巻だったか4巻だったかあいまいだが、エレの眉が太めである描写がちらほら増えた気がする。3巻まででほとんどなかったと記憶しているが、僕はほとんど外見描写を意識しないで読むのでたまたまこの巻で気づいただけかもしれない。短編が多いから、キャラクター紹介も兼ねた外見描写が増える傾向にあったためそれで意識にかかったのかも

マリエルの書類偽造はあれ使いようによっちゃ無限に相手をはめられる禁じ手。王が聡明であるうちは良いのかもだけど 、下手すりゃアルテアより強い

 

6巻時点
時間遡行というより平行世界への転移であっていたようだ
3巻のカナタとミライは過去へ行ったというよりも、作中メインの平行世界へ移動した。だからメイン世界の未来が変わっても、平行世界からミライとカナタは消えなかった
プロローグの(おそらく)平行世界セイ・ギはそのままラスボスのエンレイをよみがえらせた?
→平行世界の歴史にどういう異同があるかは不明だが、セイ・ギはミライが未来へ飛んだのを知っているので、『生き返って』はおかしい気がする(あの世界のミライは最初の破神とともに死んだという可能性はある)。なぜミライがエンレイになったかは不明

ラスボスエン・レイがどの段階から蠢いていたのかも不明

エン・レイの負の面を見られてとても満足

そら狂うわな

 

Final
補完も含めて完全完結
裏表紙の『アルテア』に感無量

 

 


 

 

*1:読書の大事な部分は筋や配置を知っていることではなく、読んでどう感じたか、体験したか、だと考えている。犯人や大筋を知っていたからといって、読んで何も感じなくなるわけじゃないだろう。

*2:当然のように『平行世界』としているが、僕がそう解釈したというだけだ。ここらは物語の本筋ではないため、作中ではつまびらかにはされていない。ただ、大きいカナタとミライが消滅しないこと、6巻の『エン・レイ』に関する描写を証拠として、僕は平行世界であろうと踏んでいる。

*3:『破神』はやたらと破壊衝動が強いようで、意思らしきものが見られない。また、『神の血』によるもう一側面の犠牲者である『破獣』もやはり意思疎通の手段を持たず、そういう意味では本当に「獣」と変わりない。

*4:これは物語中において1巻のソキウスと6巻の『エン・レイ』によって示されている。

*5:僕が勝手に薄い本的な妄想をしただけかもしれない。

*6:インシオンが弱い一面を見せたりとか、そういうのとは違う意味での二面性ね。衝動に襲われるインシオンもちょっと違うかな。あれは衝動を抑えるのは正の部分であるというギミックだから。

*7:破滅世界でさえも自己犠牲であった