雑考閑記

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雑な考えを閑な時に記す

『屍人荘の殺人』

屍人荘の殺人

今村昌弘/東京創元社(2017)

 

 3人ぐらいに勧められたので読んでみた。

 ○○絶賛みたいな煽りって不要だなと感じた。期待値を上げすぎて結局それを下回る原因。

 単純に僕の肌には合わなかったかなと。

 

ネタばれ・辛口

 

 これもそういう煽りがなければそこそこ楽しく読めたと思うけど、帯のせいで「そこまで言うほどか?」となった。

 

 ゾンビで閉じられるクローズドサークルの意味がいまいち。テロ集団とテロに起因するゾンビは大枠として舞台装置でしかなく、それならこれ持ち出してくる必要そこまであったか? という感じ。
 事件の舞台を作る以上の意味なんかないのだろうか。そういう意味では序盤でさっさと死んだ空回り男も、主人公を現場に連れてくるだけの端役といえるのかもしれない。彼に関して言えば、作品上での扱いを読み切れない。関係が深い主人公の一人称なので彼を少し持ち上げてはいるのだが、それを通しても空回り男にしか見えないのはどう受け取ればいいのだろう。

 

 トリックを推理して犯人を探す謎解きタイプの小説。
 動機や心理を重視して読む僕の肌には合わなかった。